ハートネットTVという深夜番組に挑戦するマッサージ師というタイトルに惹かれて録画を見た。

主人公は浅野菊郎(きくお)さん56歳、四年前の52歳の時に全盲(網膜色素変性症)になった。

19歳から51歳まで都内での輝かしい美容師の世界に生きた彼は全盲によって美容師を断念することになり、埼玉県盲学校にあん摩マッサージ指圧師の免許取得のために入学する。そして第二の人生を歩み始めることに決意をする。

現在、職場の治療院のすぐ近くに住み、家族とは別居の状況にも、気楽でいいとそのか身分にもこだわりがない。

おそらくまだそんなに臨床経験がないにも関わらず、お客様は浅野さんに指名が入る。手と同時に以前の美容師時代に培った話術でお客様の体のほぐしと同時にストレスをとって、癒しの世界にいつの間にか誘い込む。お客様の喜びは自分の喜びと美容師時代とそこは変わらない。

一日を終えて100メートル先のアパートに帰宅すると、今日も無事8人の患者さんをやりきったことに対してご褒美に缶ビールを開けて風鈴に向かって乾杯。以前の都会のど真ん中で勝負した華やかな美容師時代と違って何とつつまやかな日常であろう。

「やりぬいて鈴に乾杯夏の夕」浅井虎杖

その彼がさらに自分らしい生き方を求めてブラインドリセッター(一般にはヘアリセッターという)というツールという特殊な鋏を使ったカット方法に新たに挑戦するというのだ。

私も生涯現役を貫く覚悟でいる矢先、本当に刺激になった。

なせばなる。やらねばならぬ何事も。

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