五木寛之という作家は転んでもただでは起きない類まれな超老人である。
御年齢85歳は女流作家の96歳の佐藤愛子からしたらまだまだ発展途上と言うであろう。
その五木さんは過去に「養生の実技」で医者いらずの強健をみた。
人生の達人が90歳を目指す経過で「孤独のすすめ」を世に問い、
そしてついには「百歳人生を生きるヒント」で締めくくった。
私はとりあえず、目次を見て
第三章「60代の再起動」と
第六章「90代の妄想のすすめ」を読破した。
第三章では身体語に耳を傾け、ミニマリズムを実践しする。
そして第六章は前回ブログで書いた回想療法の効用にふれている。
ことに認知症には「記憶は無尽蔵の資産」として回想することが有効であると。
ノスタルジーに耽ることは老人力を高め、目える世界から目に見えない世界を
逍遥する。90代の許される特権でもある。
地元認知症の第一人者の吉田勝明先生もこの著書で
回想法が認知機能を改善すると断言している。
昔話に花咲かせたり、懐かしいおもちゃや映像写真を見て
思い出を語ってもらうことが認知症の進行を抑える。
その回想法は1960年代にアメリカの精神科医ロバート・バトラーが考案した精神療法だ。
当初はうつ病治療に使われていたが、現在は長期にわたって行うことで
認知症の機能改善することがわかってきた。
その懐かしさが香りを伴うことによって、さらに鮮明に映像がフラッシュバックされれば
なおいい。
懐かしの香り探しをレクレーションに取り入れることは決して無駄でなく、空間の香りづけに留まらず
認知症の改善にもつながることが期待される。
但し、グループワークよりは個人セッションでの活用が有効なのは、香りは個人的体験による好き嫌いも
顕著であることから、パーソナルセラピーとして扱えばいいようである。
在宅ケアの一環としてアロマテラピーが導入されればその潜在的な能力が発揮されることであろう。