懐かしき青春時代を取り戻す回想療法は、認知症の改善、特に周辺症状の出現を抑制するという持論がこの新刊には展開されている。
私が認知症の方々に推奨する介護アロマで使う精油は、とにかくその人が懐かしく思い出に残る香りを選択するというものである。
そこには精油成分を越えて大脳辺縁系にしまい込まれた過去の記憶を再び取り戻すことによって青春時代の生き生きとした若さを再現させるという仕掛けである。
今は記憶さえおぼろげになったご老人に再起を期して若き日の思い出が香りや映像や音源など、五感刺激で大脳辺縁系を呼び覚ますことができたら薬はもはや必要ない。
これら五感刺激が薬以上のものを発揮してくれると信じている。
この本の中では行事にすいとんを作って食べる行事が大うけであることを語っている。
すいとんは食料不足の戦時中の食糧事情を反映して、戦前派のご老人は必ずすいとんを懐かしむ。
今と違って物もない金もない時代を見事に救った思い出のすいとんは若き日の思い出深い貴重な体験であろう。