古賀良彦先生の「おさえておきたい脳のメカニズム」セミナー
香りに関する実験的な考察が示され興味のある内容で、ここでは介護アロマに活用できる研究成果の一端をご紹介します。
脳の重さが1.5キロに対して体重比では40分の一という重さしか占めていない脳が、酸素とブドウ糖の消費量は五分の一という脳は大変働き者だという。
つまり脳は体のすべてをコントロールする最も大事な器官だから働き者である一方、それがゆえにストレスも受けやすい。
五感の中で嗅覚だけは、高等な認知活動の中枢である大脳新皮質を介さずに、大脳辺縁系に直接伝わるという経路を持っている。
大脳辺縁系は主に感情や本能に関わる部分だと言われている。
心地よい香りがストレス予防に脳のメカニズム(恒常性維持するしくみを持つ)からしたら介護の現場にも活用できるはずだと再確認した。
ストレスを防ぐ三つの「R」がある。
Rest(睡眠)
Relaxation(癒し)
Recreation(活性化)
その1)香りつきシャンプーの利用で、寝つきがよくなり朝の目覚めもよくなる。
その2)代表的悪臭(嫌な臭い)
第1位:かび臭さ
第2位:たばこ臭
第3位:ペット
第4位:生乾きの臭い
<実験結果>かび臭さやたばこ臭がα波を減少させる➡リラクゼーション効果が期待されない(たばこ臭に関しては自分で吸わなくてもα波を減少させる)
その3)コーヒー豆の違いによるα波の出現の差異。
<実験結果>ガテマラ(ブルーマウンテン)のコーヒーの香りはα波を増加させる
一方、ブラジルサントス、マンデリン、ハワイコナはα波を減少に導く(P-300が早く大きく出現する➡脳の回転を速くする刺激的効果を誘導する)
*以前、私が見聞したコーヒー豆の香りの実験結果と全く相反していたが、その時にはブルーマウンテン)のコーヒーの香りよりマンデリンのコーヒーの香りの方が、リラックス効果が大きいという実験結果だった。
その4)精油によるα波の出現の差異。
<実験結果>
ラベンダーの香りはα波を増加させる。またレモンの香りはP-300が早く大きく出現するので、脳の回転(情報処理機能)を速くする刺激的効果を誘導する
その5)ピーチ(人工香料)の香り
<実験結果>ピーチの香り漂わせると、PETによる局所脳(創造力と記憶力に関係している前頭葉)血流量が増える➡知的活動を高め、怒りなどの情動や不安を減らすことが考えられる
その6)ウィスキー(熟成されたいい香りのウィスキー)の香り
<実験結果>局所脳血流量がを増やし、中隔側坐核すなわち快感中枢が活性化される。
その7)異性間のコミュニケーションに与えるヴァーベナの香り
<実験結果>右脳が活性化する➡人間関係修復や異性に対する媚薬効果が期待される。
<番外の話題>
右利きが右脳にα波がよく出現しやすい事実があると古賀先生は断言された。
右利きの人のほうが情動に影響されやすいということなのか?と思った。
昔、「私の彼は左利き」という歌謡曲があったが、さしずめ日本人の右利き有利な社会では感情豊かな国民性は右利きを強制したことからかと賢察した。
以上、介護者のストレス解消に香りを役立てたいものです。
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山形では大変お世話になりました、高橋です。
ここで終わらず、香りの知識も増やし、どんどん介護現場へ取り入れていけるよう努力したいと思います!
また山形にいらっしゃった際には、一献交わしたいです。