さすが「男はつらいよ」三作品目でメガホンを持った名監督だ。
ユーモアと笑いをこの作品でもシリアスに陥るところを笑いで救っている。
暗い恐い危険の介護映画が全編ほのぼのとしたユーモアに包まれる。
認知症の対応はこの主人公のような向き合い方に徹したい。
ギターを抱えた万年青年のキャラクターである主人公は定年を前にいわゆる介護離職を果たす。
母親との深い絆を会話のやり取りや日常の接し方で感じた。
最近、林家かん平の「涙の数だけ笑おうよ」というドキュメント風の記録映画を見たが、先代林家三平師匠の追善供養の直後、若くして脳卒中で倒れ、以降後遺症でまともに芸ができなくなってしまった。
二つの映画に共通点を見出すと深刻にならない。
喜びも悲しみもああ幾年という昔映画があったが、
認知症の母を抱えての人生に生き甲斐を感じている両者。
そして笑いという共通点を見出す中に、人生捨てたものではないと希望を見出した。
私自身もさらに笑いに磨きをかけて施設を回り、演芸ボランティアにも積極的に取り組んでいきたい。