臭いがつきものの職業がこの世にはある。
画家であれば絵の具の臭い。
染色屋の藍染の染料の臭い私の幼少時を思う起こさせる懐かしい臭いだ。
それぞれ職業に関わらず、ヒトには思い出の残る懐かしい臭いがタイムスリップさせる。
その臭いを嗅ぐと臭いにおいが心地よい香りになるのである。
クサヤでさえあの燻した臭いが心地よいと感じる人はいるであろう。
すっかり森に覆われてわずかに城の天守閣が見え隠れする
宮崎郊外の農家をふとしたところから足を止めた。
その玄関先に朝日を背にして田んぼの先の山の頂上を眺めている老人がいた。
一言二言声をかけた。
しっかりした物言いであり、全く認知症の気配はない。
山城を望む
老人の後ろにはつがいの種牛が繋がれている。
牛から発するその臭いは尋常でなく不快な臭いだが老人にとっては生活に密着したごく馴染みの臭いに違いないと思った。
植物のエッセンスだけがアロマテラピーではないなと。
彼にとっては認知症予防の決め手のなる臭いかもしれないなと思った。
人には臭いの快不快はその人の職業や過去の経験によるところが多いと思う。