今年20周忌になる渥美清さん。
20年たっても私の生き方指南として導いてくれる。
私の大学生時代から働き盛りの40代前半までに、寅さんが人生に与えた影響は大きくその後の人生に色濃く染まっていた。
娯楽映画でなく私にとってはなくてはならない生き方バイブルそのものであった。その当時、まさか自分が仕事として介護に関わることになろうとは思いもよらなかった。
全48作品の「男はつらいよ」の中でもっとも医療介護の連携を感じるのは40作品目のサラダ記念日である。この作品は珍しくマドンナがインテリ職業である女医扮する三田佳子さんが演じた。
その台詞の中で「患者の病気を直して寿命を伸ばすのは勿論、医者の仕事だけど、同時にどう安らかに死を迎えるかという患者の心の領域に立ち入るのも医学のうちなの。だってそうでしょ。いずれ死ぬ時に決まった患者に、口や鼻から管を入れて言葉を出せない状態にしていくことより、その人が長い間住み慣れた家で家族に看取られながら息を引き取ったほうが幸せに決まっているもの。あなたもそう思いません?」
当時、そんな発言に耳を傾けることすらしなかった台詞が今、再度鑑賞してみるとずしっと胸に迫る。脚本の山田洋二監督の介護医療にも先見の明があった熱き思いが伝わってきた。介護アロマセラピストの癒しの手による寄り添いが今、医学や介護の世界にも不可欠となってきた事を映画を再度、鑑賞し、感じた。