いくつかの感覚が混ざり合っていることを共感覚というのだそうだ。
五感での展開はまずは存在を知らしめる触覚から始まるという。つまり
触覚から味覚臭覚がリンクしさらに視聴覚へと共感覚が一方向に展開する。
それだけ触覚は五感の中でも特別の存在であるということを主張しているようだ。
その存在を知らしめる触覚は不安や心配を軽減するという。
マッサージを施術するにあたり、患者さんに触れてもらう導入をしてはどうかと考えた。
我々マッサージ師は相手に触れることが当然のように思うが、この共感覚の触覚の一方向性からすると触れてもらうことがあってもいい。
味覚と視覚の共感覚で言えば夏の暑い盛り、夕暮れビールでのどを潤すとしよう。
夏の夕暮れが運んでくれる川辺の風が肌をなでる。海からの潮の入り混じった匂いがするかもしれない。風鈴の涼やかな音があったらなおさらいい。
江戸切子に継がれた冷酒。馥郁たる日本酒の香りにキリコはぴったりの器。
青磁の深みのあるブルーが夏の暑さをしばし忘れる。
さらに遠景のスカイツリー越しの夜空に大輪の花火が打ち上げられる。
ドーンとなった途端に四方に散る潔い花火は普段あくせく働く庶民の疲れを一気に吹き飛ばしてくれる。
日本の夏は蚊取り線香の臭いがアロマテラピーの代用になる。
その蚊取り線香さえ最近はエアコンの普及と縁台のロケーションがなくなって夏の季語から消え失せる。
これら五感が入り混じった相乗作用が期待できるのが「共感覚」という複合感覚の強みなのだ。五感は入り交ざってこそ強みを発揮する。